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みんなが欲しているVRAM 16GBを349ドルで。AMD渾身のミドルレンジ「Radeon RX 9060 XT」

 AMDの新世代ミドルレンジGPU「Radeon RX 9060 XT」が6月6日に日本国内で発売される。

 この発売に先立ち、VRAM容量16GB版のRadeon RX 9060 XTをテストする機会が得られたので、ライバルとなるGeForce RTX 5060 Tiとの比較を通して、新世代ミドルレンジGPUの実力を確かめてみた。

16GB版と8GB版が登場するAMDのミドルレンジGPU「Radeon RX 9060 XT」

 Radeon RX 9060 XTは、RDNA 4アーキテクチャに基づいてTSMCのN4Pプロセスで製造されたミドルレンジGPU。VRAM容量の違いにより16GB版と8GB版の2種類が用意されており、米国での推奨小売価格(MSRP)は16GB版が349ドルで、8GB版が299ドル。

 Radeon RX 9060 XTのGPUコアでは32基のコンピュートユニット(CU)が有効化されており、2,048基のストリームプロセッサや32基のRay Accelerator、64基のAI Acceleratorなどが利用できる。なお、16GB版と8GB版のGPUコアは同等のものが採用されている。

 16GB版と8GB版のVRAMは、どちらも20Gbps動作のGDDR6メモリを採用しており、128bitのメモリインターフェイスで接続することにより320GB/sのメモリ帯域幅を実現。電力指標のTypical Board Power(TBP)は16GB版が160Wで、8GB版は150W。バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16。

【表1】Radeon RX 9060 XT の主な仕様
GPURadeon RX 9060 XTRadeon RX 9070Radeon RX 9070 XT
アーキテクチャRDNA 4RDNA 4RDNA 4
製造プロセスTSMC N4PTSMC N4PTSMC N4P
コンピュートユニット32基56基64基
ストリームプロセッサ2,048基3,584基4,096基
Ray Accelerators32基56基64基
AI Accelerators64基112基128基
ROPユニット64基128基128基
ゲームクロック2,530MHz2,070MHz2,400MHz
ブーストクロック3,130MHz2,520MHz2,970MHz
Infinity Cache32MB64MB64MB
メモリ容量16GB/8GB (GDDR6)16GB GDDR616GB GDDR6
メモリスピード20Gbps20Gbps20Gbps
メモリインターフェイス128bit256bit256bit
メモリ帯域幅320GB/s640GB/s640GB/s
PCI ExpressPCIe 5.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 5.0 x16
消費電力 (TBP)16GB=160W/8GB=150W220W304W
希望小売価格(MSRP)16GB=349ドル/8GB=299ドル549ドル599ドル

 Radeon RX 9070 シリーズの下位に位置するミドルレンジGPUであるRadeon RX 9060 XTのGPUコアは、演算ユニットの数がRadeon RX 9070 XTのちょうど半分の規模となっており、VRAMの帯域幅も半分に削減されている。

 上位モデルとのスペック差はそれなりに大きいRadeon RX 9060 XTが、ゲームやベンチマークテストでどの程度のパフォーマンスを発揮するのかに注目だ。

ASRock「Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」

 今回のテストでは、16GB版Radeon RX 9060 XTを搭載するASRock製のビデオカード「Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」のパフォーマンスを計測する。

ASRockの「Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」

 Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OCは、2基の冷却ファンを備えるGPUクーラーを搭載したビデオカードで、16GB版Radeon RX 9060 XTのGPUコアを独自にオーバークロックして搭載している。動作に必要な補助電源コネクタはPCIe 8ピン×1系統で、映像出力端子はDisplayPort 2.1a(2基)とHDMI 2.1b(1基)。

2基の冷却ファンを備えるGPUクーラーを搭載
カード裏面にはバックプレートを搭載
カードの占有スロット数は2スロット
バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16
補助電源コネクタはPCIe 8ピン×1系統
ブラケット部の映像出力端子はDisplayPort 2.1a(2基)とHDMI 2.1b(1基)
ASRock Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OCのGPU-Z実行画面

テスト環境と比較用GPU

 今回、Radeon RX 9060 XTの比較相手として用意したのは、NVIDIAの新世代ミドルレンジGPUにして16GBのVRAMを備える「GeForce RTX 5060 Ti」で、Palit Microsystemsの「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」を使って検証する。

Palit MicrosystemsのGeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB
Palit MicrosystemsのGeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GBのGPU-Z実行画面

 Radeon RX 9060 XTの推奨小売価格が16GB版349ドル、8GB版299ドルに設定されているのに対し、GeFoce RTX 5060 Tiは16GB版429ドル、8GB版379ドルとなっており、希望小売価格に関してはRadeon RX 9060 XTの方が割安だ。

 同じ16GB版ならGeForce RTX 5060 Tiより80ドル安い価格が設定されていることを踏まえた上で、AMDとNVIDIAの新世代ミドルレンジGPUがどのようなパフォーマンスを発揮するのかに注目しよう。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPURadeon RX 9060 XTGeForce RTX 5060 Ti
ビデオカードベンダーASRockPalit Microsystems
製品型番Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OCGeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB
ベースクロック1,726MHz2,407MHz
ゲームクロック2,705MHz
ブーストクロック3,291MHz2,572MHz
メモリ容量16GB GDDR616GB GDDR7
メモリスピード20Gbps28Gbps
メモリインターフェイス128bit128bit
メモリ帯域幅320GB/s448GB/s
PCI ExpressPCIe 5.0 x16PCIe 5.0 x8
Power Limit不明180W
温度リミット不明不明
Resizable BAR有効有効
GPUドライバAdrenaline 25.10.09.01 (32.0.21009.1000)GRD 576.52 (32.0.15.7652)

 Radeon RX 9060 XTをテストするのは、最高峰のゲーミングCPUである「Ryzen 7 9800X3D」とASUSの「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」を組み合わせたAMD X870環境。そのほかの機材や条件については以下の通り。

 なお、Radeon RX 9060 XTにはレビュアー向けドライバ「Adrenaline 25.10.09.01」、GeForce RTX 5060 Tiには「Game Ready Driver 576.52」をそれぞれ導入している。

【表3】テスト機材
CPURyzen 7 9800X3D (8コア/16スレッド)
CPUリミット設定PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=95℃
CPUアンコア設定UCLK=1,400MHz、FCLK=1,750MHz
マザーボードASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI [BIOS=v1504]
メモリDDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-90、1.1V)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
ゲーム用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB4 40Gbps)
CPUクーラーASUS TUF GAMING LC 240 ARGB (ファンスピード=100%)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
ディスプレイ3,840×2,160ドット、60Hz
OSWindows 11 Pro 24H2 (build 26100.4202、VBS有効)
電源プランバランス
計測HWiNFO64 Pro v8.26、GPU-Z 2.66.0、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約24℃
3D V-Cacheを搭載する8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 9800X3D」
AMD X870チップセット搭載マザーボード「ASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」

ベンチマーク結果

 ここからは、ベンチマークテストの結果を確認していく。今回実施したベンチマークテストは以下の通り。

  • 3DMark
  • ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
  • STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
  • モンスターハンターワイルズ
  • Call of Duty: Black Ops 6
  • アサシン クリード シャドウズ
  • Microsoft Flight Simulator 2024
  • サイバーパンク2077
  • フォートナイト
  • オーバーウォッチ 2
  • VALORANT
  • Forza Horizon 5
  • ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
  • ELDEN RING
  • ELDEN RING NIGHTREIGN
  • UL Procyon
  • Blender Benchmark
  • Adobe Camera Raw

 今回のテストにおいて、超解像およびフレーム生成技術に対応する一部のゲームタイトルに関しては、AMDのFSR 3、FSR 4およびNVIDIA DLSSを適用した場合のスコアまたはフレームレートを計測している。

 超解像やフレーム生成に利用している技術が異なると、出力される映像の品質も異なるため、スコアやフレームレートのみで優劣を比較できるものではない点には注意してもらいたい。

3DMark「Speed Way」

 3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」を実行した結果が以下のグラフ。

 Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは「2,902」で、GeForce RTX 5060 Tiの「4,038」を約28%下回った。

3DMark「Speed Way」

3DMark「Steel Nomad」

 3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。

 高負荷テストのSteel NomadにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「3,749」で、GeForce RTX 5060 Tiの「3,536」を約6%上回った。

3DMark「Steel Nomad」

 負荷の軽いSteel Nomad LightにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「13,720」で、GeForce RTX 5060 Tiの「16,099」を約15%下回った。

3DMark「Steel Nomad Light」

3DMark「Port Royal」

 3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」を実行した結果が以下のグラフ。

 Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは「9,666」で、GeForce RTX 5060 Tiの「10,100」を約4%下回った。

3DMark「Port Royal」

3DMark「Solar Bay」

 3DMarkの比較的軽量なレイトレーシングテスト「Solar Bay」を実行した結果が以下のグラフ。

 Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは「63,859」で、GeForce RTX 5060 Tiの「73,909」を約14%下回った。

3DMark「Solar Bay」

3DMark「Wild Life」

 3DMarkのVulanテスト「Wild Life」では、通常のWild Lifeと、より高負荷なWild Life Extremeを実行した。

 負荷の軽い通常のWild LifeにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「82,018」で、GeForce RTX 5060 Tiの「86,379」を約5%下回った。

3DMark「Wild Life」

 高負荷版のWild Life ExtremeにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「27,514」で、GeForce RTX 5060 Tiの「30,029」を約8%下回った。

3DMark「Wild Life Extreme」

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。

 Radeon RX 9060 XTのスコアは、フルHD/1080pで約12%、WQHD/1440pで約17%、4K/2160pでは約24%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回った。

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク「スコア」
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク「平均フレームレート」

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール

 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、グラフィックプリセットを最高の「HIGHEST」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。

 WQHD/1440p以下の解像度において、Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 Tiは上限値に近い平均フレームレートを記録しており、ほぼ同等のパフォーマンスを発揮している。一方で、4K/2160pでは上限120fpsのBATTLE HUBで約6%、WORLD TOURでは約10%、Radeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを下回った。

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール│フルHD/1080p
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール│WQHD/1440p
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール│4K/2160p

モンスターハンターワイルズ

 モンスターハンターワイルズでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、レイトレーシングを「高」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でフレームレートを計測した。なお、DLCの高解像度テクスチャパックは適用していない。

 Radeon RX 9060 XTは、超解像「オフ」でGeForce RTX 5060 Tiを7~14%下回っているが、超解像およびフレーム生成を「FSR 3」で行なった場合、WQHD/1440p以下の解像度ではGeForce RTX 5060 Tiを1~4%上回った。

 なお、RDNA 4のAI Acceleratorを活用するFSR 4でのパフォーマンスは、FSR 3利用時とそこまで差のないものとなっている。

モンスターハンターワイルズ│フルHD/1080p
モンスターハンターワイルズ│WQHD/1440p
モンスターハンターワイルズ│4K/2160p

Call of Duty: Black Ops 6

 Call of Duty: Black Ops 6では、グラフィックプリセットを「極限」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。なお、Call of Duty: Black Ops 6はフレーム生成にも対応しているが、今回のテストでは一律「オフ」にしている。

 このゲームではRadeon RX 9060 XTが明確にGeForce RTX 5060 Tiを上回るパフォーマンスを発揮。超解像「オフ」で15~21%、超解像「FSR 3」でも16~21%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを上回った。

 Radeon RX 9060 XTで「FSR 4」を利用した場合の平均フレームレートは、FSR 3利用時より3~16%低いものとなっており、ここでは画面解像度が上がるほど差が拡大している様子が見られた。

Call of Duty: Black Ops 6│フルHD/1080p
Call of Duty: Black Ops 6│WQHD/1440p
Call of Duty: Black Ops 6│4K/2160p

アサシン クリード シャドウズ

 アサシン クリード シャドウズでは、グラフィックプリセットを「最高」、レイトレーシングを「全体的に拡散+反射」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。

 超解像「オフ」でのRadeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 Tiの平均フレームレートは1~2fpsの僅差で、超解像とフレーム生成をFSR 3で実行した場合はRadeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを4~7%上回った。

 FSR 4利用時のRadeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、FSR 3利用時を1~9%下回っており、Call of Duty: Black Ops 6と同じく画面解像度が上がるほど差が拡大している様子が確認できる。

アサシン クリード シャドウズ│フルHD/1080p
アサシン クリード シャドウズ│WQHD/1440p
アサシン クリード シャドウズ│4K/2160p

Microsoft Flight Simulator 2024

 Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。

 なお、テスト時のゲームバージョン「v1.4.20.0」ではNVIDIA DLSS 4のマルチフレーム生成に対応しているのだが、今回のテスト環境で3Xまたは4Xのマルチフレーム生成設定を適用すると正常に画面が描画されなくなったため、正常に動作した2X設定でのみ計測している。

 Radeon RX 9060 XTは超解像「オフ」時にGeForce RTX 5060 Tiを3~7%上回る平均フレームレートを記録。また、FSR 3で超解像とフレーム生成を有効化した条件では、GeForce RTX 5060 Tiを16~18%も上回った。

Microsoft Flight Simulator 2024│フルHD/1080p
Microsoft Flight Simulator 2024│WQHD/1440p
Microsoft Flight Simulator 2024│4K/2160p

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:オーバードライブ」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。

 Radeon RX 9060 XTは、超解像「オフ」で22~26%、FSR 3利用時でも13~14%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回る平均フレームレートを記録した。

 また、GeForce RTX 5060 TiはDLSS 4のマルチフレーム生成によって平均フレームレートを大幅に引き上げることも可能であり、サイバーパンク2077に関してはGeForce RTX 5060 Tiの優位が明らかな結果となった。

サイバーパンク2077│フルHD/1080p
サイバーパンク2077│WQHD/1440p
サイバーパンク2077│4K/2160p

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、超解像とNaniteおよびLumenを無効化したアンチエイリアス「TAA」設定と、NaniteとLumen(ハードウェアレイトレーシング)を有効化したうえで超解像「TSR最高」を行なう設定で平均フレームレートを計測した。

 Nanite/Lumen無効時のRadeon RX 9060 XTは、フルHD/1080pとWQHD/1440pで約4%、4K/2160pでは約2%、GeForce RTX 5060 Tiを僅差ながら下回った。

フォートナイト│Nanite/Lumen「無効」

 一方、Naniteを有効化してLumenを最高品質に設定した条件では、フルHD/1080pで約17%、WQHD/1440pで約11%、4K/2160pでは約7%、Radeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを上回っている。

フォートナイト│Nanite/Lumen「有効」

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fpsで、グラフィックスAPIはDirectX 12。

 Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約23%、WQHD/1440pで約19%、4K/2160pで約24%下回った。

オーバーウォッチ 2

VALORANT

 VALORANTでは、アンチエイリアスを「MSAA 4x」、異方性フィルタリングを「16x」、その他のグラフィック設定をできる限り高く設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。なお、計測は射撃上のCPU負荷が高いロケーションで行なっている。

 Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 Tiは、いずれもWQHD/1440p以下の解像度でCPUボトルネックによるフレームレートの頭打ちが生じているが、その平均フレームレートにはRadeon RX 9060 XTが460fps前後、GeForce RTX 5060 Tiは588.4fps前後という差が生じている。これはドライバ等の最適化の差などによるCPU負荷の差が反映された結果だ。

 一方、4K/2160pに関してはGPUボトルネックによるフレームレートの低下が生じており、平均254.9fpsを記録したRadeon RX 9060 XTが、平均361.3fpsのGeForce RTX 5060 Tiを約29%下回った。

VALORANT

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、グラフィックプリセットを最高の「エクストリーム」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。

 Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約4%、WQHD/1440pで約2%、4K/2160pで約1%上回った。

Forza Horizon 5

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

 ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。

 Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約9%、WQHD/1440pで約27%、4K/2160pで約25%下回った。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

ELDEN RING

 ELDEN RINGでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で、レイトレーシングを「オフ」または「最高」に設定した場合の平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。

 レイトレーシング「オフ」では、Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 TiがWQHD/1440p以下の解像度で上限フレームレートに達しており、GPUボトルネックによるフレームレートの低下が生じた4K/2160pでは、平均38.3fpsを記録したRadeon RX 9060 XTが、平均56.7fpsのGeForce RTX 5060 Tiを約33%下回った。

ELDEN RING│レイトレーシング「無効」

 レイトレーシングを「最高」に設定した場合、Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約37%、WQHD/1440pで約39%、4K/2160pで約47%と大きく下回った。

ELDEN RING│レイトレーシング「有効」

ELDEN RING NIGHTREIGN

 ELDEN RING NIGHTREIGNでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。

 Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 TiがWQHD/1440p以下の解像度で上限フレームレートに達しており、GPUボトルネックによるフレームレートの低下が生じた4K/2160pでは、平均39.1fpsを記録したRadeon RX 9060 XTが、平均55.6fpsのGeForce RTX 5060 Tiを約30%下回った。

ELDEN RING NIGHTREIGN

UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

 AI演算性能を計測するUL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」では、Float16演算とInteger演算のスコアを計測した。なお、GeForce RTX 5060 Tiに関してはWindows MLに加え、NVIDIA TensorRT利用時のスコアも計測している。

 Windows ML利用時のスコアを比較すると、Radeon RX 9060 XTはGeForce RTX 5060 TiをFloat16で約23%、Integerでも約39%と大きく下回った。また、TensorRT利用時のGeForce RTX 5060 TiはRadeon RX 9060 XTのスコアをFloat16で約118%、Integerでも約1,251%も上回っている。

UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion 1.5」

 画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、512×512ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion 1.5 (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。

 Radeon RX 9060 XTは、AMD最適化版のONNX Runtime利用時に約12%、Microsoft Olive最適化版のONNX Runtime利用時に約9%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回った。また、両GPUのベストスコアを比較した場合、Radeon RX 9060 XTはTensorRT利用時のGeForce RTX 5060 Tiを約29%も下回っている。

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion 1.5 (FP16)」│スコア
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion 1.5 (FP16)」│生成時間

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion XL」

 画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、1,024×1,024ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion XL (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。

 Radeon RX 9060 XTは、AMD最適化版のONNX Runtime利用時に約24%、Microsoft Olive最適化版のONNX Runtime利用時に約19%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回った。また、両GPUのベストスコアを比較した場合、Radeon RX 9060 XTはTensorRT利用時のGeForce RTX 5060 Tiを約38%も下回っている。

UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion XL (FP16)」│スコア
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion XL (FP16)」│生成時間

UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」

 UL Procyonの「AI Text Generation Benchmark」は、LLMを用いたテキスト生成のパフォーマンスを計測するテスト。

 Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは、PHI 3.5で約59%、MISTRAL 7Bで約57%、LLAMA 3.1で約57%、LLAMA 2で約53%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを大きく下回った。

UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」

UL Procyon「Photo Editing Benchmark」

 UL Procyonの「Photo Editing Benchmark」は、Adobeの画像編集ソフト「Photoshop」と「Lightroom Classic」でのパフォーマンスを計測するテスト。

 Radeon RX 9060 XTが記録した総合スコアは「10,127」で、「10,575」を記録したGeForce RTX 5060 Tiを約4%下回った。

 レタッチではRadeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを約1%上回っているものの、バッチ処理においてGeForce RTX 5060 Tiを約9%下回ったことが総合スコアに響いたようだ。

UL Procyon「Photo Editing Benchmark」

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトであるBlender Benchmarkでは、3つのシーンのレンダリング速度を計測した。テストに使用したBlenderのバージョンはv4.4.0。

 Radeon RX 9060 XTのレンダリング速度は、monsterで約62%、junkshopで約65%、classroomで約68%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを大きく下回った。

Blender Benchmark

 念のため、Blender v4.4.3を使用して公式ベンチマーク相当のテストを実行してみたが、ここでもRadeon RX 9060 XTはGeForce RTX 5060 Tiをmonsterで約64%、junkshopで約54%、classroomで約55%も下回っている。

Blender

Adobe Camera Raw「RAW現像」

 Adobe Camera Rawで、2,400万画素のRAWファイル100枚を最高画質のJPEGファイルに変換する「RAW現像」を実行した場合の処理速度を比較した。

 Radeon RX 9060 XTの1分あたりの処理枚数は「257.9枚」で、GeForce RTX 5060 Tiの「262.8枚」を約2%という僅差で下回った。

Adobe Camera Raw「RAW現像」

Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」

 Adobe Camera Rawで、2,400万画素のRAWファイル20枚にAIノイズ除去を実行した場合の処理速度を比較した。

 Radeon RX 9060 XTの1分あたりの処理枚数は「4.62枚」で、GeForce RTX 5060 Tiの「9.54枚」を約52%も下回った。

Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」

システム消費電力と電力効率

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 Radeon RX 9060 XTのアイドル時最小消費電力は79.8Wで、GeForce RTX 5060 Tiの75.5Wより4Wほど高い数値となっている。

 一方、ベンチマークテスト実行中にRadeon RX 9060 XTが記録した平均消費電力は216.2~279.3Wで、198.1~267.3WだったGeForce RTX 5060 Tiより2.0~32.3W高い平均消費電力となっている。

システムの消費電力 (平均/最大)

 システムの平均消費電力でベンチマークスコアを割ることによって求めたワットパフォーマンスを、GeForce RTX 5060 Tiを基準に指数化したものが以下のグラフ。

 Radeon RX 9060 XTのワットパフォーマンスをGeForce RTX 5060 Ti比でみた場合、スコアでGeForce RTX 5060 Tiを上回った3DMarkのSteel Nomadでこそ同等(約100%)となっているものの、その他の3DMark系テストで71~81%、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは70~78%となっており、パフォーマンスで大きく後れをとったBlender BenchmarkやAdobe Camera Raw「AIノイズ除去」では大差がついた。

 とはいえ、このワットパフォーマンスの差はパフォーマンスの劣勢により生じたものであり、システム消費電力自体に大差がないことを考えると、Radeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiと同等以上のパフォーマンスを発揮しているテストではより良いワットパフォーマンスが期待できる。

ワットパフォーマンス (GeForce RTX 5060 Ti比)

負荷テスト実行中のモニタリングデータ

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使用して、3DMarkのSteel Nomad Stress Test実行中のモニタリングデータを取得した。なお、テスト時のHWiNFO64 Pro(v8.26)ではRadeon RX 9060 XTのGPU消費電力を計測できなかったため、GPU-Z(v2.66.0)を使用して取得している。

 負荷テスト中のRadeon RX 9060 XTは、平均169.5W(最大172.0W)の電力を消費しながら動作しており、この時のGPU温度は平均63.7℃(最大66.0℃)、VRAM温度は平均68.4℃(最大72.0℃)で、GPUクロックは平均2,980MHz(最大3,081MHz)、VRAMクロックは平均2,502MHz(最大2,502MHz)で動作していた。

GPU/VRAM温度 (平均/最大)
消費電力 (平均/最大)
動作クロック (平均/最大)
Radeon RX 9060 XT (16GB)のモニタリングデータ
GeForce RTX 5060 Ti (16GB)のモニタリングデータ

349ドルでゲーマーに16GB VRAMをもたらす新時代のミドルレンジGPU

 今回テストした16GB版Radeon RX 9060 XTは、WQHD/1440pまでの画面解像度なら高画質設定でゲームを楽しめる実力を備えており、Radeon優位なタイトルでは80ドルの価格差を覆して16GB版GeForce RTX 5060 Tiを凌駕するパフォーマンスも見られた。

 一方で、不得手なゲームタイトルや生成AI、BlenderなどのクリエイティブアプリではGeForce RTX 5060 Tiに圧倒される結果も目立っており、オールマイティな性能を有するGeForce RTX 5060 Tiに対し、Radeon RX 9060 XTはゲームに特化しているという印象だ。

 349ドルという16GB版Radeon RX 9060 XTの希望小売価格は、16GB版GeForce RTX 5060 Ti(429ドル)より80ドル安いだけでなく、8GB版GeForce RTX 5060 Ti(379ドル)よりも安い。

 もし、この希望小売価格に準じた国内販売価格が設定され、6万円台から販売されている8GB版GeForce RTX 5060 Tiより安価に入手できるのであれば、ゲーマーに16GBの大容量VRAMをもたらす新時代のミドルレンジGPUとして大きな注目を集めることになるだろう。

あこがれのVRAM 16GB環境を身近にしてくれるRadeon RX 9060 XTを動画でも解説!【AMD公式コラボ】Sponsored

Radeon RX 9060 XTをGPU評価の鬼にしてヘビーゲーマーの“KTU”加藤勝明さんがライブ配信で解説。聞き手は“改造バカ”高橋敏也さん。今回は日本AMDの佐藤美明さんも参戦! (ライブ終了後は即アーカイブを視聴できます)