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みんなが欲しているVRAM 16GBを349ドルで。AMD渾身のミドルレンジ「Radeon RX 9060 XT」
2025年6月4日 22:00
AMDの新世代ミドルレンジGPU「Radeon RX 9060 XT」が6月6日に日本国内で発売される。
この発売に先立ち、VRAM容量16GB版のRadeon RX 9060 XTをテストする機会が得られたので、ライバルとなるGeForce RTX 5060 Tiとの比較を通して、新世代ミドルレンジGPUの実力を確かめてみた。
16GB版と8GB版が登場するAMDのミドルレンジGPU「Radeon RX 9060 XT」
Radeon RX 9060 XTは、RDNA 4アーキテクチャに基づいてTSMCのN4Pプロセスで製造されたミドルレンジGPU。VRAM容量の違いにより16GB版と8GB版の2種類が用意されており、米国での推奨小売価格(MSRP)は16GB版が349ドルで、8GB版が299ドル。
Radeon RX 9060 XTのGPUコアでは32基のコンピュートユニット(CU)が有効化されており、2,048基のストリームプロセッサや32基のRay Accelerator、64基のAI Acceleratorなどが利用できる。なお、16GB版と8GB版のGPUコアは同等のものが採用されている。
16GB版と8GB版のVRAMは、どちらも20Gbps動作のGDDR6メモリを採用しており、128bitのメモリインターフェイスで接続することにより320GB/sのメモリ帯域幅を実現。電力指標のTypical Board Power(TBP)は16GB版が160Wで、8GB版は150W。バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16。
【表1】Radeon RX 9060 XT の主な仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | Radeon RX 9060 XT | Radeon RX 9070 | Radeon RX 9070 XT |
アーキテクチャ | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 |
製造プロセス | TSMC N4P | TSMC N4P | TSMC N4P |
コンピュートユニット | 32基 | 56基 | 64基 |
ストリームプロセッサ | 2,048基 | 3,584基 | 4,096基 |
Ray Accelerators | 32基 | 56基 | 64基 |
AI Accelerators | 64基 | 112基 | 128基 |
ROPユニット | 64基 | 128基 | 128基 |
ゲームクロック | 2,530MHz | 2,070MHz | 2,400MHz |
ブーストクロック | 3,130MHz | 2,520MHz | 2,970MHz |
Infinity Cache | 32MB | 64MB | 64MB |
メモリ容量 | 16GB/8GB (GDDR6) | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 |
メモリスピード | 20Gbps | 20Gbps | 20Gbps |
メモリインターフェイス | 128bit | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 320GB/s | 640GB/s | 640GB/s |
PCI Express | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 |
消費電力 (TBP) | 16GB=160W/8GB=150W | 220W | 304W |
希望小売価格(MSRP) | 16GB=349ドル/8GB=299ドル | 549ドル | 599ドル |
Radeon RX 9070 シリーズの下位に位置するミドルレンジGPUであるRadeon RX 9060 XTのGPUコアは、演算ユニットの数がRadeon RX 9070 XTのちょうど半分の規模となっており、VRAMの帯域幅も半分に削減されている。
上位モデルとのスペック差はそれなりに大きいRadeon RX 9060 XTが、ゲームやベンチマークテストでどの程度のパフォーマンスを発揮するのかに注目だ。
ASRock「Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」
今回のテストでは、16GB版Radeon RX 9060 XTを搭載するASRock製のビデオカード「Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」のパフォーマンスを計測する。
Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OCは、2基の冷却ファンを備えるGPUクーラーを搭載したビデオカードで、16GB版Radeon RX 9060 XTのGPUコアを独自にオーバークロックして搭載している。動作に必要な補助電源コネクタはPCIe 8ピン×1系統で、映像出力端子はDisplayPort 2.1a(2基)とHDMI 2.1b(1基)。
テスト環境と比較用GPU
今回、Radeon RX 9060 XTの比較相手として用意したのは、NVIDIAの新世代ミドルレンジGPUにして16GBのVRAMを備える「GeForce RTX 5060 Ti」で、Palit Microsystemsの「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」を使って検証する。
Radeon RX 9060 XTの推奨小売価格が16GB版349ドル、8GB版299ドルに設定されているのに対し、GeFoce RTX 5060 Tiは16GB版429ドル、8GB版379ドルとなっており、希望小売価格に関してはRadeon RX 9060 XTの方が割安だ。
同じ16GB版ならGeForce RTX 5060 Tiより80ドル安い価格が設定されていることを踏まえた上で、AMDとNVIDIAの新世代ミドルレンジGPUがどのようなパフォーマンスを発揮するのかに注目しよう。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | ||
---|---|---|
GPU | Radeon RX 9060 XT | GeForce RTX 5060 Ti |
ビデオカードベンダー | ASRock | Palit Microsystems |
製品型番 | Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC | GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB |
ベースクロック | 1,726MHz | 2,407MHz |
ゲームクロック | 2,705MHz | ─ |
ブーストクロック | 3,291MHz | 2,572MHz |
メモリ容量 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR7 |
メモリスピード | 20Gbps | 28Gbps |
メモリインターフェイス | 128bit | 128bit |
メモリ帯域幅 | 320GB/s | 448GB/s |
PCI Express | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x8 |
Power Limit | 不明 | 180W |
温度リミット | 不明 | 不明 |
Resizable BAR | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | Adrenaline 25.10.09.01 (32.0.21009.1000) | GRD 576.52 (32.0.15.7652) |
Radeon RX 9060 XTをテストするのは、最高峰のゲーミングCPUである「Ryzen 7 9800X3D」とASUSの「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」を組み合わせたAMD X870環境。そのほかの機材や条件については以下の通り。
なお、Radeon RX 9060 XTにはレビュアー向けドライバ「Adrenaline 25.10.09.01」、GeForce RTX 5060 Tiには「Game Ready Driver 576.52」をそれぞれ導入している。
【表3】テスト機材 | |
---|---|
CPU | Ryzen 7 9800X3D (8コア/16スレッド) |
CPUリミット設定 | PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=95℃ |
CPUアンコア設定 | UCLK=1,400MHz、FCLK=1,750MHz |
マザーボード | ASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI [BIOS=v1504] |
メモリ | DDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-90、1.1V) |
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
ゲーム用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB4 40Gbps) |
CPUクーラー | ASUS TUF GAMING LC 240 ARGB (ファンスピード=100%) |
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum) |
ディスプレイ | 3,840×2,160ドット、60Hz |
OS | Windows 11 Pro 24H2 (build 26100.4202、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
計測 | HWiNFO64 Pro v8.26、GPU-Z 2.66.0、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
ここからは、ベンチマークテストの結果を確認していく。今回実施したベンチマークテストは以下の通り。
- 3DMark
- ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
- STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
- モンスターハンターワイルズ
- Call of Duty: Black Ops 6
- アサシン クリード シャドウズ
- Microsoft Flight Simulator 2024
- サイバーパンク2077
- フォートナイト
- オーバーウォッチ 2
- VALORANT
- Forza Horizon 5
- ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
- ELDEN RING
- ELDEN RING NIGHTREIGN
- UL Procyon
- Blender Benchmark
- Adobe Camera Raw
今回のテストにおいて、超解像およびフレーム生成技術に対応する一部のゲームタイトルに関しては、AMDのFSR 3、FSR 4およびNVIDIA DLSSを適用した場合のスコアまたはフレームレートを計測している。
超解像やフレーム生成に利用している技術が異なると、出力される映像の品質も異なるため、スコアやフレームレートのみで優劣を比較できるものではない点には注意してもらいたい。
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは「2,902」で、GeForce RTX 5060 Tiの「4,038」を約28%下回った。
3DMark「Steel Nomad」
3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。
高負荷テストのSteel NomadにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「3,749」で、GeForce RTX 5060 Tiの「3,536」を約6%上回った。
負荷の軽いSteel Nomad LightにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「13,720」で、GeForce RTX 5060 Tiの「16,099」を約15%下回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは「9,666」で、GeForce RTX 5060 Tiの「10,100」を約4%下回った。
3DMark「Solar Bay」
3DMarkの比較的軽量なレイトレーシングテスト「Solar Bay」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは「63,859」で、GeForce RTX 5060 Tiの「73,909」を約14%下回った。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulanテスト「Wild Life」では、通常のWild Lifeと、より高負荷なWild Life Extremeを実行した。
負荷の軽い通常のWild LifeにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「82,018」で、GeForce RTX 5060 Tiの「86,379」を約5%下回った。
高負荷版のWild Life ExtremeにてRadeon RX 9060 XTが記録したスコアは「27,514」で、GeForce RTX 5060 Tiの「30,029」を約8%下回った。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。
Radeon RX 9060 XTのスコアは、フルHD/1080pで約12%、WQHD/1440pで約17%、4K/2160pでは約24%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回った。
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、グラフィックプリセットを最高の「HIGHEST」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。
WQHD/1440p以下の解像度において、Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 Tiは上限値に近い平均フレームレートを記録しており、ほぼ同等のパフォーマンスを発揮している。一方で、4K/2160pでは上限120fpsのBATTLE HUBで約6%、WORLD TOURでは約10%、Radeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを下回った。
モンスターハンターワイルズ
モンスターハンターワイルズでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、レイトレーシングを「高」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でフレームレートを計測した。なお、DLCの高解像度テクスチャパックは適用していない。
Radeon RX 9060 XTは、超解像「オフ」でGeForce RTX 5060 Tiを7~14%下回っているが、超解像およびフレーム生成を「FSR 3」で行なった場合、WQHD/1440p以下の解像度ではGeForce RTX 5060 Tiを1~4%上回った。
なお、RDNA 4のAI Acceleratorを活用するFSR 4でのパフォーマンスは、FSR 3利用時とそこまで差のないものとなっている。
Call of Duty: Black Ops 6
Call of Duty: Black Ops 6では、グラフィックプリセットを「極限」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。なお、Call of Duty: Black Ops 6はフレーム生成にも対応しているが、今回のテストでは一律「オフ」にしている。
このゲームではRadeon RX 9060 XTが明確にGeForce RTX 5060 Tiを上回るパフォーマンスを発揮。超解像「オフ」で15~21%、超解像「FSR 3」でも16~21%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを上回った。
Radeon RX 9060 XTで「FSR 4」を利用した場合の平均フレームレートは、FSR 3利用時より3~16%低いものとなっており、ここでは画面解像度が上がるほど差が拡大している様子が見られた。
アサシン クリード シャドウズ
アサシン クリード シャドウズでは、グラフィックプリセットを「最高」、レイトレーシングを「全体的に拡散+反射」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。
超解像「オフ」でのRadeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 Tiの平均フレームレートは1~2fpsの僅差で、超解像とフレーム生成をFSR 3で実行した場合はRadeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを4~7%上回った。
FSR 4利用時のRadeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、FSR 3利用時を1~9%下回っており、Call of Duty: Black Ops 6と同じく画面解像度が上がるほど差が拡大している様子が確認できる。
Microsoft Flight Simulator 2024
Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。
なお、テスト時のゲームバージョン「v1.4.20.0」ではNVIDIA DLSS 4のマルチフレーム生成に対応しているのだが、今回のテスト環境で3Xまたは4Xのマルチフレーム生成設定を適用すると正常に画面が描画されなくなったため、正常に動作した2X設定でのみ計測している。
Radeon RX 9060 XTは超解像「オフ」時にGeForce RTX 5060 Tiを3~7%上回る平均フレームレートを記録。また、FSR 3で超解像とフレーム生成を有効化した条件では、GeForce RTX 5060 Tiを16~18%も上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:オーバードライブ」に設定し、超解像設定ごとにフルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。
Radeon RX 9060 XTは、超解像「オフ」で22~26%、FSR 3利用時でも13~14%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回る平均フレームレートを記録した。
また、GeForce RTX 5060 TiはDLSS 4のマルチフレーム生成によって平均フレームレートを大幅に引き上げることも可能であり、サイバーパンク2077に関してはGeForce RTX 5060 Tiの優位が明らかな結果となった。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、超解像とNaniteおよびLumenを無効化したアンチエイリアス「TAA」設定と、NaniteとLumen(ハードウェアレイトレーシング)を有効化したうえで超解像「TSR最高」を行なう設定で平均フレームレートを計測した。
Nanite/Lumen無効時のRadeon RX 9060 XTは、フルHD/1080pとWQHD/1440pで約4%、4K/2160pでは約2%、GeForce RTX 5060 Tiを僅差ながら下回った。
一方、Naniteを有効化してLumenを最高品質に設定した条件では、フルHD/1080pで約17%、WQHD/1440pで約11%、4K/2160pでは約7%、Radeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを上回っている。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fpsで、グラフィックスAPIはDirectX 12。
Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約23%、WQHD/1440pで約19%、4K/2160pで約24%下回った。
VALORANT
VALORANTでは、アンチエイリアスを「MSAA 4x」、異方性フィルタリングを「16x」、その他のグラフィック設定をできる限り高く設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。なお、計測は射撃上のCPU負荷が高いロケーションで行なっている。
Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 Tiは、いずれもWQHD/1440p以下の解像度でCPUボトルネックによるフレームレートの頭打ちが生じているが、その平均フレームレートにはRadeon RX 9060 XTが460fps前後、GeForce RTX 5060 Tiは588.4fps前後という差が生じている。これはドライバ等の最適化の差などによるCPU負荷の差が反映された結果だ。
一方、4K/2160pに関してはGPUボトルネックによるフレームレートの低下が生じており、平均254.9fpsを記録したRadeon RX 9060 XTが、平均361.3fpsのGeForce RTX 5060 Tiを約29%下回った。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、グラフィックプリセットを最高の「エクストリーム」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークテストを実行した。
Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約4%、WQHD/1440pで約2%、4K/2160pで約1%上回った。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。
Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約9%、WQHD/1440pで約27%、4K/2160pで約25%下回った。
ELDEN RING
ELDEN RINGでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で、レイトレーシングを「オフ」または「最高」に設定した場合の平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。
レイトレーシング「オフ」では、Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 TiがWQHD/1440p以下の解像度で上限フレームレートに達しており、GPUボトルネックによるフレームレートの低下が生じた4K/2160pでは、平均38.3fpsを記録したRadeon RX 9060 XTが、平均56.7fpsのGeForce RTX 5060 Tiを約33%下回った。
レイトレーシングを「最高」に設定した場合、Radeon RX 9060 XTが記録した平均フレームレートは、GeForce RTX 5060 TiをフルHD/1080pで約37%、WQHD/1440pで約39%、4K/2160pで約47%と大きく下回った。
ELDEN RING NIGHTREIGN
ELDEN RING NIGHTREIGNでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。
Radeon RX 9060 XTとGeForce RTX 5060 TiがWQHD/1440p以下の解像度で上限フレームレートに達しており、GPUボトルネックによるフレームレートの低下が生じた4K/2160pでは、平均39.1fpsを記録したRadeon RX 9060 XTが、平均55.6fpsのGeForce RTX 5060 Tiを約30%下回った。
UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」
AI演算性能を計測するUL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」では、Float16演算とInteger演算のスコアを計測した。なお、GeForce RTX 5060 Tiに関してはWindows MLに加え、NVIDIA TensorRT利用時のスコアも計測している。
Windows ML利用時のスコアを比較すると、Radeon RX 9060 XTはGeForce RTX 5060 TiをFloat16で約23%、Integerでも約39%と大きく下回った。また、TensorRT利用時のGeForce RTX 5060 TiはRadeon RX 9060 XTのスコアをFloat16で約118%、Integerでも約1,251%も上回っている。
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion 1.5」
画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、512×512ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion 1.5 (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9060 XTは、AMD最適化版のONNX Runtime利用時に約12%、Microsoft Olive最適化版のONNX Runtime利用時に約9%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回った。また、両GPUのベストスコアを比較した場合、Radeon RX 9060 XTはTensorRT利用時のGeForce RTX 5060 Tiを約29%も下回っている。
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark/Stable Diffusion XL」
画像生成AIでのパフォーマンスを計測するUL Procyon「AI Image Generation Benchmark」で、1,024×1,024ピクセルの画像を生成する「Stable Diffusion XL (FP16)」を実行した結果が以下のグラフ。
Radeon RX 9060 XTは、AMD最適化版のONNX Runtime利用時に約24%、Microsoft Olive最適化版のONNX Runtime利用時に約19%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを下回った。また、両GPUのベストスコアを比較した場合、Radeon RX 9060 XTはTensorRT利用時のGeForce RTX 5060 Tiを約38%も下回っている。
UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」
UL Procyonの「AI Text Generation Benchmark」は、LLMを用いたテキスト生成のパフォーマンスを計測するテスト。
Radeon RX 9060 XTが記録したスコアは、PHI 3.5で約59%、MISTRAL 7Bで約57%、LLAMA 3.1で約57%、LLAMA 2で約53%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを大きく下回った。
UL Procyon「Photo Editing Benchmark」
UL Procyonの「Photo Editing Benchmark」は、Adobeの画像編集ソフト「Photoshop」と「Lightroom Classic」でのパフォーマンスを計測するテスト。
Radeon RX 9060 XTが記録した総合スコアは「10,127」で、「10,575」を記録したGeForce RTX 5060 Tiを約4%下回った。
レタッチではRadeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiを約1%上回っているものの、バッチ処理においてGeForce RTX 5060 Tiを約9%下回ったことが総合スコアに響いたようだ。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトであるBlender Benchmarkでは、3つのシーンのレンダリング速度を計測した。テストに使用したBlenderのバージョンはv4.4.0。
Radeon RX 9060 XTのレンダリング速度は、monsterで約62%、junkshopで約65%、classroomで約68%、いずれもGeForce RTX 5060 Tiを大きく下回った。
念のため、Blender v4.4.3を使用して公式ベンチマーク相当のテストを実行してみたが、ここでもRadeon RX 9060 XTはGeForce RTX 5060 Tiをmonsterで約64%、junkshopで約54%、classroomで約55%も下回っている。
Adobe Camera Raw「RAW現像」
Adobe Camera Rawで、2,400万画素のRAWファイル100枚を最高画質のJPEGファイルに変換する「RAW現像」を実行した場合の処理速度を比較した。
Radeon RX 9060 XTの1分あたりの処理枚数は「257.9枚」で、GeForce RTX 5060 Tiの「262.8枚」を約2%という僅差で下回った。
システム消費電力と電力効率
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
Radeon RX 9060 XTのアイドル時最小消費電力は79.8Wで、GeForce RTX 5060 Tiの75.5Wより4Wほど高い数値となっている。
一方、ベンチマークテスト実行中にRadeon RX 9060 XTが記録した平均消費電力は216.2~279.3Wで、198.1~267.3WだったGeForce RTX 5060 Tiより2.0~32.3W高い平均消費電力となっている。
システムの平均消費電力でベンチマークスコアを割ることによって求めたワットパフォーマンスを、GeForce RTX 5060 Tiを基準に指数化したものが以下のグラフ。
Radeon RX 9060 XTのワットパフォーマンスをGeForce RTX 5060 Ti比でみた場合、スコアでGeForce RTX 5060 Tiを上回った3DMarkのSteel Nomadでこそ同等(約100%)となっているものの、その他の3DMark系テストで71~81%、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは70~78%となっており、パフォーマンスで大きく後れをとったBlender BenchmarkやAdobe Camera Raw「AIノイズ除去」では大差がついた。
とはいえ、このワットパフォーマンスの差はパフォーマンスの劣勢により生じたものであり、システム消費電力自体に大差がないことを考えると、Radeon RX 9060 XTがGeForce RTX 5060 Tiと同等以上のパフォーマンスを発揮しているテストではより良いワットパフォーマンスが期待できる。
負荷テスト実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使用して、3DMarkのSteel Nomad Stress Test実行中のモニタリングデータを取得した。なお、テスト時のHWiNFO64 Pro(v8.26)ではRadeon RX 9060 XTのGPU消費電力を計測できなかったため、GPU-Z(v2.66.0)を使用して取得している。
負荷テスト中のRadeon RX 9060 XTは、平均169.5W(最大172.0W)の電力を消費しながら動作しており、この時のGPU温度は平均63.7℃(最大66.0℃)、VRAM温度は平均68.4℃(最大72.0℃)で、GPUクロックは平均2,980MHz(最大3,081MHz)、VRAMクロックは平均2,502MHz(最大2,502MHz)で動作していた。
349ドルでゲーマーに16GB VRAMをもたらす新時代のミドルレンジGPU
今回テストした16GB版Radeon RX 9060 XTは、WQHD/1440pまでの画面解像度なら高画質設定でゲームを楽しめる実力を備えており、Radeon優位なタイトルでは80ドルの価格差を覆して16GB版GeForce RTX 5060 Tiを凌駕するパフォーマンスも見られた。
一方で、不得手なゲームタイトルや生成AI、BlenderなどのクリエイティブアプリではGeForce RTX 5060 Tiに圧倒される結果も目立っており、オールマイティな性能を有するGeForce RTX 5060 Tiに対し、Radeon RX 9060 XTはゲームに特化しているという印象だ。
349ドルという16GB版Radeon RX 9060 XTの希望小売価格は、16GB版GeForce RTX 5060 Ti(429ドル)より80ドル安いだけでなく、8GB版GeForce RTX 5060 Ti(379ドル)よりも安い。
もし、この希望小売価格に準じた国内販売価格が設定され、6万円台から販売されている8GB版GeForce RTX 5060 Tiより安価に入手できるのであれば、ゲーマーに16GBの大容量VRAMをもたらす新時代のミドルレンジGPUとして大きな注目を集めることになるだろう。
Radeon RX 9060 XTをGPU評価の鬼にしてヘビーゲーマーの“KTU”加藤勝明さんがライブ配信で解説。聞き手は“改造バカ”高橋敏也さん。今回は日本AMDの佐藤美明さんも参戦! (ライブ終了後は即アーカイブを視聴できます)